昨日お昼くらいに病院に訪ねたらカーテンが閉めてある。
嫁のオヤジなので顔を出すのは遠慮して嫁に顔を出させると嫁が「何だか一週間前よりも痩せてる」って言いながらこっちに来る。
急に苦しみだした
一緒にカーテンの切れ目からお義父さんに大好きなコーヒーを飲ませようとしてカーテン内に入ったら寝ているように見えていたお義父さんが急に苦しみだした。
ニョウボが「どうしたの?」っと呼びかけてもお義父さんは「あたま、あたま・・・」っとしか言わない。
嫁が「あたまがどうしたの?」っと聞いても「あたま、あたま」っとしか言わない。
ニョウボが「寒くない?」っと言うと義父さんが「うん、うん」っと言うのでニョウボが
頭が寒いのか・・・
っと思い、お義父さんのあたまに毛布を巻き始めた。するとお義父さんが「違う、頭を上に・・・」っと言ったところで、枕を深く差し込んでくれという意味だと悟り、言われた通りにしたら少しが落ち着いた。
が、まだ少し苦しそうだった。少しして看護師達がやってきてお義父さんは少し容態が悪くなったので少し処置が必要だと言いながらベッドをどこかに持って行った。
医師から予想外の言葉が
その後担当の医師が俺たちに今の容態を説明しに来た。
その後俺が「家族を呼んだ方がいいですか?」っと聞くと医師は「・・・・呼んだ方がいいです」
意外な言葉だったが現実にそう言われたのでスグに姉に電話。姉は夫とお義母さんを連れて今から病院に来るという。
突然呼び出し
姉さんたちが来るまでけっこう時間がかかるしお義父さんのいない病室にいてもしょうがないのでニョウボと近くのラーメン屋に立ち寄り一旦帰宅。
思ったよりも早い帰宅になったので一週間後に迫る電気工事士や二週間後のボイラーの勉強をしに図書館へ行こうかと思っていたところに病院から電話。
急いで病院に来て欲しい・・・
マジか・・・実家の姉に連絡し急いで病院へ。ちょうど姉たちも着ていて、担当の医師から
2~3日がヤマです
一通り医師から説明を聞き、集中治療室にいるお義父さんに会ったが人工呼吸器を付けられていて意識も無い。
とりあえず一旦皆引き上げた。ところが夜の9時過ぎにまたまた病院から電話で
スグに来て欲しい
っといわれて急いで病院へ。行ってみるとお義父さんは相変わらずのように見えるが医師の説明だと
「人工呼吸器があるので呼吸しているように見えますが心臓がほぼ動いていないし血流がほぼ無い状態が少し長いので脳にもそれなりにダメージが・・・自発的な呼吸も・・・ないでしょう」
つまりもはや死亡しているということ・・・なんてこった・・・
さっきまで生きていた
さっきまで生きていた・・・頭を上に上げてくれって言ってた。前日は自宅にいるお義母さんに
「まだ生きているよ」
って電話していた。そのお義父さんが今・・・死んでしまった。
姉や旦那さん、お義母さんも来た。お義母さんは
「おじいちゃん、やっとラクになったね」
っと声をかけてる。
医者が泣いた
家族が揃ったところで担当医がやってきて死亡に至った経緯を説明した。一通り説明し終わったところで
「私・・・ちょっと・・・治療し過ぎたのかもしれないッ」
っと言いながら堪え切れないっと言う感じで顔を隠しながら大泣きしていた。しかし他所の病院では
「無理です。もう透析しかありません」っと言われていたお義父さんを何とか治そうとあのお医者さんはがんばっていたのも知っているので
「いやいや、先生にはよくやってもらいました。ありがとうございました。お義父さんも先生のこと信頼してましたよ」っと声をかけた。
だが87歳という年齢を考えると・・・治療に耐えられなかったのかもしれないなぁ
行くも地獄、止まるも地獄 か
病院で顔を作ってくれた
この後どうしようかと思っていたら病院で“死に顔”を作ってくれるらしい。
確かに人工呼吸器を入れられているお義父さんの顔はいかにも苦痛に苦しんでいるように見える。
それと医学的知見から解剖してもいいか?っと言われたが断った。これ以上お義父さんに苦しむような事をされたくないから。
顔を作る間に今度は地元の葬儀屋に電話して自宅に連れて帰る車を手配してもらった。
お義父さんの顔を作り終えたようなので見に行くと、しばらくぶりに非常に安らかで楽しげでもあるかのようなお義父さんの顔になっていた。
お迎えの車が来た
黒塗りの大きなバンで迎えに来た運転手が専用のベッドにお義父さんを移動し、白い布でお義父さんを包み病院から出発。我々も後を追うように出発。
あの大泣きした担当医と看護師が見えなくなるまで、最後まで頭を下げていた。